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病気・症状

パーキンソン病発症後、身体の痛みや身体の曲がりがひどいのですが、なぜこんなに身体が曲がるのでしょうか。何かよい対策はないでしょうか。

パーキンソン病にみられる姿勢異常

パーキンソン病では、ときに「前屈(前かがみ)」「側屈(横に傾く)」「首下がり」「腰曲がり」など、身体が曲がる「姿勢異常」が起きることが知られています。前方が見えにくくなるために視界が狭くなったり、転倒しやすくなったり、痛みをともなうこともある姿勢異常は日常生活動作(ADL)を低下させる要因の一つです。

姿勢異常が現れると「パーキンソン病だから仕方がない」「パーキンソン病は姿勢が悪くなるもの」とあきらめてしまう場合があるようです。パーキンソン病の症状が進行すると、高齢者ではたしかに身体は曲がりやすくなりますが、病初期に出現する姿勢異常の多くは薬剤調整やリハビリテーションによって改善することができます。

病初期の姿勢異常で多く見られるのが治療薬剤のレボドパの不足によるものです。レボドパは必要以上に使いすぎると副作用としてジスキネジア(不随意運動)が出ることがあるので、医師がそれを危惧するあまりに、少なめに処方されるケースが少なくありません。しかし、レボドパ1回の服薬量を食後中心に増量したり、服薬回数・服薬時間を細かく適切に調整したりすることで姿勢異常の改善が期待できます。特に、レボドパの効果が切れて動きにくい時間帯(オフ)に現れる姿勢異常に対しては、薬剤調整を行うことによってオフの時間を減らすことが大切となります。

また、ドパミンアゴニスト服薬中に急激に首下がりや腰曲がりが出現した場合は、その薬剤の副作用で姿勢異常が起きた可能性があります。その場合には、そのドパミンアゴニストを減量・中止して他剤に変更したり、レボドパを追加したりすることで対処できることがあります。

姿勢異常を治療せずに長期にわたり放っておくと、背骨の変形や骨折を引き起こしたり、曲がった姿勢を「本来の姿勢」と認識してしまったりして、治療が難しくなります。原則は早期発見・早期治療です。姿勢異常に気付いたら、なるべく早く主治医に相談して適切な治療を開始して正しい姿勢を取り戻しましょう。

姿勢の改善と維持のためにできること

姿勢異常を引き起こす要因には、パーキンソン病の進行や薬剤の影響のほかにも、加齢、生活パターン、運動不足などが知られています。病気があってもなくても、人は年齢を重ねるとともに姿勢が悪くなりがちですし、畳の生活を送っている方では椅子を使っている方に比べて前かがみになりやすい傾向があります。また、運動不足によって筋力のバランスが崩れて姿勢異常を引き起こすこともあります。

いつまでも正しい姿勢で、年齢相応のADLを維持できるよう、日々の生活を見直してみましょう。たとえば家では、目につく所に姿見を置いて折にふれて自分の姿勢を確認したり、椅子(できれば肘付の椅子)を使った生活に変えてみたりするのも有効です。また、加齢や運動不足で正しい姿勢を維持するのに必要な筋力が衰えないよう、運動療法を継続的に行うと効果的です。

下記に、高齢で転倒することが心配な方でも可能な運動例を紹介します。

1)背筋を鍛える運動
床にうつ伏せになり、両手を胸の下に置きます。次に顔を天井に向けるようにして、ゆっくりと上体を反らせます。両肘をなるべく伸ばすように両手で床を押して補助すると無理なく運動を続けることができます。

背筋を鍛える運動

2)前かがみを矯正する運動
椅子に深く腰を下ろし、胸の前で両腕を肩幅くらいに広げて両手で棒をつかみます。そのままゆっくりと腕を上げて上体を後ろに反らせます。

前かがみを矯正する運動
姿勢異常と痛み

姿勢異常に痛みをともなう場合には、背骨の骨折や骨の変形など、整形外科的な問題が起きていることもあるので、注意が必要です。痛みの原因がわからないまま無理に運動したり、整体やマッサージを受けたりすると、痛みが悪化したり、新たな骨折を生じることがあります。まずは主治医に相談するようにしましょう。

みどり野リハビリテーション病院 神経内科
パーキンソン病治療センター センター長

http://www.midorino-hp.jp/pd-center/index.html

髙橋 裕秀 先生

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