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パーキンソン病患者さんのための栄養管理

  • 総監修愛媛大学医学部附属病院 薬物療法・神経内科 教授  野元 正弘 先生
  • 編者愛媛大学医学部附属病院 栄養部
  • 編集責任者愛媛大学医学部附属病院 栄養部 部長  利光 久美子 先生

なぜ、「食事療法」が必要なのか?

パーキンソン病患者さんの「食事療法」の必要性について説明します。

まず1つ目は、パーキンソン病に伴う直接的な影響をコントロールするためです。パーキンソン病は、脳内の「ドパミン(ドーパミン)」という神経伝達物質が減少してしまうことで、脳から全身に運動の指令がうまく伝わらなくなる病気です。振戦(しんせん)、筋強剛(きんきょうごう)、筋固縮(きんこしゅく)、強剛(きょうごう)、動作緩慢、姿勢反射障害、小刻み歩行などといった症状が現れ、日常の生活活動に支障を来すこともあります。日常の活動量が低下すれば空腹感が生じにくく、食事への意欲低下につながります。また、自律神経障害によって、便秘や発汗過多、流涎(よだれ)などを伴うほか、抑うつ的な症状を伴えば、食欲低下につながりかねません。食事の回数や量が少なければ、栄養摂取量も少なくなり、栄養低下や栄養欠乏にもつながります。病気や薬の副作用による影響ではなく、栄養摂取不足による倦怠感(けんたいかん)や意欲喪失を生じさせてしまうことは回避しなければなりません。そのためにも、食事を上手くコントロールすることが大切なのです。
また、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)が行いにくく、飲み込みが遅くなってしまうこともあります。このような症状がみられる場合には、咀嚼力があまり必要なく、のどの通りが良い食事形態への工夫をおすすめします。
2つ目は、パーキンソン病の治療薬に伴う副作用によって生じる間接的な身体的影響をコントロールするためです。脳内で不足するドパミン(ドーパミン)を薬で補うことが、パーキンソン病患者さんの治療の中心ですが、直接的にドパミンを増やす作用のある薬や、体内にあるドパミンを有効利用しやすくする間接的作用のある薬など、いずれの薬を服用しても、ドパミンの作用を促すことで、嘔気や嘔吐、便秘といった消化器系の副作用が現れやすくなります。
また、5年以上の長期投薬治療を行っていると、薬が効いている時間が短くなることがあります。この症状を「ウェアリング・オフ現象」といいますが、投薬時間の調整はもちろんのこと、薬の効果が現れているタイミングに合わせて、食事や生活動作の調整を行う必要があります。パーキンソン病の治療において、投薬を中止することはできません。個々の患者さんの症状に合わせて継続的な治療につなげていくためにも、薬と食事(栄養)はうまく併用していく必要があります。

編集責任者

愛媛大学医学部附属病院 栄養部 部長

http://www.hsp.ehime-u.ac.jp/class/divisions/class06-15/index.html

利光 久美子 先生

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